ねえ、ジェーン・シベリーって、どんな人なの?

財産とか、名誉とか、そんなものは人生には必要ないの。私にとって何よりも大切なのは、心と心の触れ合い…

「日本初のシベリー・サロン開催に向けて」 永井文男(音楽評論)

欧米ではその独創的な音楽的才能を絶賛され、また、強烈で純粋な生き様が共感を呼んでいるジェーン・シベリー。このカナダが生んだ不世出の音楽の聖人が殉じるのは、しかし音楽そのものにではなく、人と人との出会い、心と心との触れ合いにだという。ジェーンはいつも空っぽで人に向き合う。出会った人の全てを受け入れるために。

 

20枚以上の「Critically Acclaimed = 評論家に賞賛されたアルバム」を持ちながら、ジェーン・シベリーは、その音楽どころか名前すら、日本ではほとんど知られていない。ポップスターの地位を投げ捨て、メジャーな音楽産業と縁を切り、ギターとスーツケースだけを手に世界を旅をする独自の活動を続けるジェーン。そんな彼女のアーティストリーを伝えるマスコミ、メディアは、残念ながら日本にはないからだ。

けれども、たとえばこのYouTube動画を見ればすぐに、その純粋な気高さ、寛容な暖かさは、誰にでもはっきりと伝わると思う。音楽産業が要求する「キャッチー」だの「新鮮なスタイル」だのといったプレッシャーから解放され、じっくりと熟成された音楽だけが放つ芳香と味わい。底光りする魂の音楽を通じた、心と心の触れ合い。それがジェーン・シベリーの世界であり、そこには、そんなジェーンを慕って集う人たちにとっての「忘れ得ぬ体験」が待っている。日本では初めて開催される少人数限定の「シベリー・サロン」。そこでのジェーンとの出会いは、特別な思い出になるだろう。

そう、世の中には2種類の人間がいる。ジェーンと出会った人と、これから出会う人と。

ジェーン・シベリーは、カナダのシンガーソングライター。デビューして間も無くの1980年代初頭、専門家の間で「音楽の新たな時代を拓く先鋭的な女性アーチスト」として、ジョニ・ミッチェル、ローリー・アンダーソン、ケイト・ブッシュと並んで、その先進性と高い音楽性が賞賛された。その才能に惚れ込んだブライアン・イーノ、ピーター・ガブリエルとの共演でも注目され、その楽曲は、同郷のk.d.ラング、ホリー・コールなどをはじめとする多くの歌手にカバーされている。

デビュー以来、ジェーンは豊富なイマジネーションで、アルバムごとに異なるアプローチで多彩な音楽を生み出し、1990年代になるとハリウッド映画(ヴィム・ヴェンダース作品「時の翼にのって」、「恋愛小説家」、「ペイ・フォワード」など多数)にも楽曲を提供し、いわゆる「玄人受け」の存在から、より一般的な成功を収めるようになる。

しかし、ジェーンは類型的なポップスでミリオンセラーを狙うレコード会社の干渉を拒否し、全てのアルバムの音源を自分で買い取り、レーベルとの契約を解除して、メジャーな音楽業界との一切のしがらみを断ってしまう。その後、家や車などの財産を全部処分し、以来、「スーツケースとギターを片手に」世界を旅する、インデペンデントな活動を続けている。その、まるで出家僧のような、あまりにも過激で純粋なライフ・スタイルは、当初は困惑を持って受け止められたものの、次第に人々の共感を集め、いまでは賞賛と尊敬の的となっている。

その中心となるのが、世界を旅して、訪問先の街々で「心と心の触れ合いの場」であることを第一に少人数で行われる「シベリー・サロン」で、終演後の懇親会を含め、街の人々との「思い出深いひととき」を共有することが、ジェーンの何よりも大切にしていることだという。

日本文化との出会いを望むジェーン本人の強い希望で実現した、日本では初となる「シベリー・サロン・スペシャル」は、戦前に建てられた古民家ギャラリー・目白「ゆうど」で、各日20名限定の親密な空間で行われる。ジェーンの心映えが届きますように。

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